私と司法の関係(3)


 法テラスの組織体制が、極めて保守的で内部からの批判や意見具申を受容し難い体質であるのを、皮肉にも?私自身を巡る問題から気付かされることになりました。

 静岡勤務時代、当時の上司である所長から私は職員の人事評価を巡る事案を契機に強烈なパワハラを受けることになりました。所長は私より年長の経験豊富な弁護士であり、凡そ信じがたい所業でしたが、日常の業務遂行に支障をきたす状況に私は本部に経緯を報告。「所長を交代させるか、私を異動させるか」の選択を迫りました。

 結果は予想通り、所長は簡単な事情聴取で無罪放免となり、私が大分へ異動させられました。

 異動自体は、雇われ人としては甘受せざるを得ないものの、私の受けた人権侵害の検討経緯の説明が不十分であったことから、内部規定に従い「第三者委員会」での調査を求めました。

 しかし、半年近くも調査をした結果、委員会が出した結論は当初と同じで、上司や本部側の判断に問題はないとの沙汰。しかも報告書には、私が発言もしていない内容まで「捏造」されていたのです。

 ことここに至り、組織としての自浄能力にも期待できないことが判明したことから、私は外部マスコミへの告発を企みます。本件パワハラ事件以外にも、人事・組織制度上の問題点なども複数指摘したA4判で30ページほどの報告書を作成し、あくまで私文書として全国紙4社へ実名で告発しました。

 これがまた、予想もしない事態へと展開することになります。

 文書発送後、2週間ほどしたある日、本部から呼び出しを受け東京へ出向きました。

本部では通常の業務ヒアリングと聞き、会議室に招き入れられると、元検事の内部監査担当者が対峙し、私の目の前に当該告発文書のコピーが差し出されました。「これは一体、なんですか?」

 絶対に本部には知られてならない文書が目の前に在ることで、私は頭の中が真っ白になり、その後の問答も、どのように答えたか、記憶が定かでないほどです。

 本部にとっては、理事長以下の幹部を実名で批判した告発文書を許せなかったことから、就業規則上の非違行為に抵触との判断に及び、私の弁明も虚しく、懲戒処分(戒告)を受けました。

 組織のために善かれと考えた行動が非違行為とみなされたこともショックでしたが、なによりもマスコミへの告発文書が、こうもた易く漏洩されては、内部告発制度が成り立ちません。

 私は、その翌年の定年退職を待って、マスコミ4社へ上記の経緯を報告し、情報漏洩の有無に関する質問状を送付しましたが、調査結果を報告してきたのが2社(産経と読売)、朝日は文書がどの部署で受付されたか不明との回答。毎日に至っては何らの回答もありませんでした。

 この一事例をもって、司法ムラとマスコミの癒着を摘発できるだけの「証拠能力」はありません。

しかし、およそ常識の枠組みを超えた体験をすることで、権力間の密着ぶりを肌身に沁みて感じることが出来たのは貴重な経験であり、この国の揺るぎ難い基盤の一部を垣間見たと思います。

 

  さて次は、今、最も関心のある「お墓の問題」です。詳しくはこちら