お墓に関する考察(2)


 左半身不随となった母は懸命のリハビリも効果なく車椅子生活となり、狭い都心の家での生活は断念せざるを得ず、娘(私の妹)の自宅に近い千葉県内の施設に入所することになりました。

 

 幸い、首から上の機能には支障がなかったので、日常会話はもちろん、食事も普通に摂れていますが、自由に動き回ることは出来なくなったため、本妙寺との付き合い(春秋の彼岸墓参、お盆や命日法要など)が出来なくなりました。

 

 そこで改めて、今後の佐藤家の墓に関して母と私と妹で話し合った結果、母が死亡した際に、遺骨は本妙寺の「永代供養墓」に祀ることとし、並行して現在の佐藤家の墓も寺に返還することにし、収容されている遺骨は全て「永代供養墓」に移すことにし、寺側の内諾も得られました。

 

 しかし、永代供養墓に合葬するための費用は寺側に50万円支払うほか、墓石撤去費用は寺専属の石工さんに支払う必要があり、百万円単位の「事業」となります。

 

 そして母の意思表示を文書として残すために、公正証書遺言を作成、相続開始時に、その内容を執行することになります。この手続きのため公証人に母の施設まで出張を要したこともあり、公正証書作成費用が約15万円かかりました。

 

 手間や費用はかかりましたが、それでも具体的手続きを進めることが出来たのは、母の希望を叶える現実的な方策を、クリスチャンである私が菩提寺との関係に囚われることなく、客観的に選択出来たからと思います。

 もちろん、まだ完璧ではなく、次の段階としては母の生きた証を残し、親類縁者らがいつでも母を偲ぶことの出来る「バーチャル墓」をネット上で構築することが次なる課題となっています。